AKANE -もう一度、逢いたい-
もともと勘の良いあたし。
さっきの出来事でなんとなく分かってしまったんだ。
もともとこうなるような予感はしていた。
どうやって家を調べたのかは分からない。
けれど、あたしが標的にされるとどこかで分かっていたのかもしれない。
すると明音がさっき見た光景を話し始める。
「茜の家の前にこの紙が
何枚も貼られてたんだ」
そう言って『人殺し』と書かれた紙を見せる。
「マジかよ…」
「それだけじゃないの。
茜に生卵を投げたみたいだった」
明音はぶつけられたわけじゃないのに悔しそうに代弁してくれた。
「ありえねぇよ」
「でもこれで、みんなの
気が済むならそれでいい」
「またそんなこと言う」
「あたしが貴之を
殺したようなものだから」
あたしはまだ雪が舞う空を眺めた。
今の貴之はこうやって降る雪も知らない。
今でもずっと考えることがある。
どうして事故に遭ったのはあたしじゃないのか。
どうしてあたしなんかを守ったのか。
「あたしは
迷惑しかかけてないな」
窓を開けると冷たい風が吹いた。
冷たさを感じ、生きているこの体。
どうして生かされたのだろう。