AKANE -もう一度、逢いたい-
貴之の顔を見たら涙が溢れてしまった。
あたしは傍に近づく度に涙が溢れた。
そしてベッドの横で貴之の手を取った。
ガタガタ震えながらもその手を握りしめた。
「貴之…」
名前を呼んでも答えてくれない。
分かっているけど、微笑んでくれる気がしてならない。
「……ごめんね」
ピピピピピピピピ
返答の代わりに心電図音が早くなる。
しかしそれが危険な印でもあった。
「……ごめ…ごめん…グスッ」
ピピピピピピピ
もう周りの声なんて聞こえなかった。
あたしの目には横たわる貴之しか見えていない。
貴之、あの日に言えなかった言葉があるんだ。
ちゃんと心に決めた素直な気持ち。
まだ貴之に伝えていなかったね。
今度こそちゃんと言うよ。
だから聞いていてね。
「大好きだよ…」
ピッピッピッピッ
「あなたを…
愛しています…」