AKANE -もう一度、逢いたい-
「思わず、
ホモかと思ったぐらいよ」
この状況にもかかわらず明るい貴之のお母さん。
尊敬したくなるほどだった。
「もしそうなら覚悟しないとって思ったぐらいよ」
大声で笑うお母さんは昔から何も変わっていなかった。
「だから茜ちゃん、
こっちこそありがとうね」
「お礼なんて言われること
してないですから」
「そんなこと言わないの!」
「助けてくれて、
ありがとうございました…」
「当たり前じゃない!」
お母さんの言葉が信じられなかった。
「目の前の好きな女の子を守らないなんて、うちの息子じゃないわ」
強烈だった。
「そんなことしたら
一生戻って来させないわよ」
あたしは悪くないと言ってくれているようだった。
お母さんの優しさが身に染みた。
こんなに優しくしてくれるなんて思わなかったんだ。
何度も何度も涙が流れた。
あたしの涙は枯れないんだ。
「蒼次。
連れて来てくれてありがとう」
蒼次に耳打ちする。
本当に嬉しいかったんだ。