AKANE -もう一度、逢いたい-
「ただ謝りにいくよ」
空を見上げると星が瞬いていた。
お父さんも、あたしの姿を見てくれると思うと力がわいた。
「困ったときは…
助けを借りるかもだけど」
あたしは相変わらず不器用に言う。
素直に助けて欲しいと言えないのは、もう性分だから仕方がないのかもしれない。
それを感じ取ったのか蒼次は鼻で笑っていた。
「ちゃんと
卒業式に行くから」
そう宣言をした。
***
俺はただ一人、全てを見ていた。
走馬灯はクラクションを最後にブツリと途切れてしまった。
そして次に映し出されたのは、俺のいない生活風景だった。
俺のいない世界なんて、最初は気にも留めなかった。
どうせ世界は俺がいなくても、まわり続ける。
時は何も知らずに流れ続ける。
俺がいなくなっても何も変わらない。
いつもの日常が訪れるだけだと思っていた。
けれども君の悲しい声がかすかに聞こえたんだ。
儚くて今にも消えてしまいそうな君。
そんな君の姿が映るから、俺はこの道を進めず、立ち止まってしまった。