AKANE -もう一度、逢いたい-
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あの時は思わずあんな勝手な言葉を言った。
きっと俺の言葉は薄っぺらくて信じてくれていないに決まってる。
それでも少しでも残る可能性があるなら構わないと思った。
正直あんなこと言われて傷付かない奴はいない。
だからこそ、そんな顔を一度でもしたら負けると感じた。
俺の教室、2-Eに戻ると蒼次と陽平が心待ちにしているようだった。
そしてなぜか今朝、茜の緊急事態を教えてくれたもう1人の明音ちゃんもいた。
どうせ陽平にでも捕まったまま逃げられなかったのだろう。
すごく困った顔をしていたから。
「あれ?例の茜ちゃんは?」
「教室に帰った」
「そっか。ちゃんと教室まで
送っていったのか?」
「…避けられた」
その一言に陽平は大声で笑い、蒼次には「どんまい」と声を掛けられてしまった。
「それにしても茜ちゃんはどうしてこんな状態になってるんだろうな?」
「確かに。昔『けっこん』の
約束までしたんだろ?」
「お前、余計なこと言うな」
衝撃の事実を聞かされたもう1人の明音ちゃんは戸惑いを隠せていなかった。
「その…えっと……」
「なんか、ごめん。
さっきのことは忘れて」
「わ、忘れません!!
実は私、相談したくて、
茜ちゃんと友達になりたくて…」
真っ赤な顔をしたその子は必死に訴えてくれていた。
茜自身に何があったのか気になるからこそ今は少しでも心を開ける人を見つけて欲しいとも思っていた。