AKANE -もう一度、逢いたい-



「いいじゃん!
この子なら俺も大賛成!!」


陽平が大声を出す。


「私、絶対に茜ちゃんは
優しい子だと思う」

「どこが?」


明音ちゃんの意外な言葉に顔をしかめたのもまた陽平だった。


「だって、この前の試合の時に話しかけたらちゃんと答えてくれたから」

「え?」

「いつも同じ教室にいるのに
話したことなくて…」


3人とも何も言わずに耳を傾けた。


「話しかけても周りの子には
ムダだって言われました」

「じゃあ、なんで?」

「この前のサッカーの試合の
結果を教えてくれたから」


明るく本当に嬉しそうに話す彼女。


そんな彼女が傍にいてくれたらと思うとこっちまで嬉しく感じる。


(それより、
あの時の試合見てたんだ。)


同時に予鈴のチャイムが鳴り響いた。


「あ、教室に戻らないと…」

「茜と仲良くなってやって」


それが俺がかけることの出来るセリフだった。




茜と10年振りに逢ったことで動き出した俺の心。


こうやってまた逢えたのは運命か、奇跡か。違うよな。


神様のお陰が3割。

必然なことだったのが7割に決まってるよな。


でも今思えば、俺がもう一度会いたいと全身で願っていたカタチなのかもしれない。

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