AKANE -もう一度、逢いたい-


『今さら、
出て来るんじゃねーよ』

『だましてて、
面白がってたんだろ』


『最悪じゃん』

『お前なんか死ね!!』


唇を少し噛んで、グッとこらえた。


分かっていたことじゃない。


こんなこと言われることぐらい分かっていた。


…それでも辛いよ。


「お願いします、
あたしの話を聞いて下さい!」


『お前の話なんて
誰も聞きたくねーんだよ』


『ついでだから
謝っちゃえばいいんじゃない?』

『謝んなさいよ!』


周囲からも謝れの言葉が飛び交ってしまっていた。


「…してない。…あたしは
何も悪いことはしていない!」


きっぱりと前を見て叫んだ。


その迫力に驚いたのか、会場は静まりかえてっていた。


「あの日。確かに
彼を呼び出しました」

「ほら、やっぱり…」

「でも!それは事故に
遭わせるためじゃない」


ぼろぼろと溢れる涙は止めたくても止まらない。


「あたしは告白したくて呼び出したんです。あの日はバレンタインデーだったから」


彼が大嫌いだった。


でも気が付けば、あなたばかりを目で追いかけていた。

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