AKANE -もう一度、逢いたい-


お父さんが守ってくれた。


貴之が守ってくれた。


あたしは2人分必死に生きなくちゃならない。


無駄な人生を送っちゃいけないんだ。


「今でも貴之は
生死の境をさまよっています」

「………」

「原因は全てあたしです」

「………」

「嫌われることも
憎まれることも本当は怖い」

「………」

「けれど嫌われたり、
憎まれても仕方がないと思う」

「………」

「でもね、
あたしには愛があった」


貴之、空の上で聞いててくれていますか?


「貴之のことを愛しています」


上を見上げる。


あたしの想いを聞いて下さい。


「例え、もう逢えなくても、
一生あなたを愛してるから」


ずっと、ずっと…。


そしてゆっくりと全校生徒ともう一度、向き合った。


「彼があたしを待ってくれたように、今度はあたしが待つことにします」


これは宣言だった。


自分に向けての宣言だった。

< 301 / 311 >

この作品をシェア

pagetop