AKANE -もう一度、逢いたい-


あたしは貴之を事故に遭わせてしまった。


この学校で必要な人物を失くしてしまった。


だからサッカー部には迷惑をかけてしまったんだ。


謝るとしたら貴之とサッカー部の人たちだから。


「茜ちゃん、だったよね?」

「…はい」

「俺を含めてみんな、
君のせいじゃないと思ってる」

「…でも」

「これはサッカー部にとっても試練だと思ってる。貴之がいなくても強くなるためのね」

「そうだ!」


キャプテンがまた大きな声を出していた。


あたしは涙が出そうだった。


すると横から蒼次につつかれた。


「お前が
心配することじゃねーよ」

「蒼次…」

「貴之がいなくても
勝てるようになるって」


陽平も任せろと言うように胸を張っていた。


蒼次が笑って言うのだった。


「何よりも、貴之が戻って来た時に負けていたら怒られるだろ」

「…そうだね」


あたしははにかむように笑った。


そうだよね。

貴之なら怒るに違いないよね。


「強くなった摂高に
貴之が入ったら無敵だろ」


ドヤ顔で言う蒼次、その通りだと思った。


今度こそ全国大会に行ってもらいたい。

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