AKANE -もう一度、逢いたい-


「だから大丈夫だよ」


みんながあたたかかった。


そこへ保健の先生が息を切らして走ってくる。


「河﨑さん!」

「先生…」

「みんながいて良かったわ!」


ぜえぜえ息を切らしていた。


それだけで緊急なことだと分かる。


「貴之くんが…!」


その名前に心臓が止まりそうだった。


どうしよう。


もしかしてまた悪化した…!?


心臓がドキドキして潰れるかと思った。


「息を吹き返したって!」

「貴之が……生きてる?」

「そう!
生きてるのよ!!」

「貴之が…生きてる…
生きてるんだ…よね…」

「やったね、茜!」

「やっぱあいつは
簡単に死ぬわけねーよ!」

「そうだよな、
あいつは帰ってくるよな」


明音も陽平も蒼次も嬉しそうだった。


その知らせを聞いた人全てが嬉しくて喜び、涙を流していた。


あたしは周囲の状況を冷静に見ることが出来なかった。


気持ちが高ぶって、今言われた言葉が本当なのかと耳を疑いそうだった。

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