AKANE -もう一度、逢いたい-
大きくて優しい風が吹きぬけた。
『幸せになれよ』
お父さんの言葉が届いた気がした。
あたしは涙を拭いて立ち上がる。
「あたし、行かなくちゃ!」
誰も、どこに行くのかなんて聞かなかった。
行く場所なんて1つしかないから。
「そうだな」
蒼次は笑う。
それに続いて、明音も陽平も微笑んでいた。
そしてすぐに駆け出した。
貴之。
あのね、
いろいろと話したいことがあるの。
いろいろな話を聞いて欲しいの。
何から話そうかな。
いっぱいあって、話し終わらないかもしれないな。
貴之。
あのね、ずっとあたしの隣でいて欲しいの。
今以上に、あたしを見ていて欲しいの。
あなたがいたら、あたしはきっと強くなれるから。