AKANE -もう一度、逢いたい-
でも彼女は無表情で、何も言わずに俺を見つめていた。
「そんな感情、必要ない」
淡々と彼女は口を開く。
もちろん、無表情のまま。
「だって、今幸せだから」
「そんな…!!」
「何も感じない、
誰もあたしに干渉しない」
「………」
「今の毎日があたしの幸せ」
「茜…」
「だから貴之の
心配なんて必要ない」
「俺が救う」
思わず言葉が口からこぼれた。
「勝手にすれば?」
茜の感情は揺れないままだ。
どんなに俺が説得しても。
それでも俺は茜に何度も伝えるんだ。
「俺、諦めないよ。絶対に」
茜は何も感じないことが幸せだと言う。
でも俺は楽しいことも辛いことも感じることが幸せだと思う。
きっと感じないんじゃない。
感じなくなった日がちゃんとあるはずだ。
感情をいらないと思った日があるはずだ。
俺は君のために、君と向き合おうと決意した。
俺たちはその場で互いに向き合っていた。