AKANE -もう一度、逢いたい-
***
薄暗い教室。
グラウンドがよく見える3階の教室に真っ黒な長いみつ編みの女の子が1人で座っていた。
「…ねぇ、確か
河崎(カワサキ)さんだよね?」
「…そうですけど」
明るく話しかけてくれたもう1人の可愛らしい彼女。たくさんの資料を運んできて近くに置いて歩み寄ってくる。
「もしかして試合でも見てた?」
「まぁ…」
「もしかしてサッカー部に
好きな人がいるの?」
「………」
「あっ、ごめん。
言いたくないよね」
彼女は何も悪いこと言ってないのに急に謝り出した。
「私はね、
貴之くんが好きなんだぁ」
そして恥ずかしそうに真っ赤な顔をしていた。
「あ、そうだ。
どっちが勝ったか分かる?
私、見れなくてさぁ」
「…1-0で…勝っ……」
「ちょっと、明音(アカネ)!!
試合勝ったよ!!」
同時に廊下から大きな声で言葉が消し飛ばされてしまった。
「もう、今その話を
聞いていたとこなのに…」
そして彼女の友だちは教室に入ってくるなり嫌そうな顔をした。
チッそして小さく舌打ちが聞こえた。