AKANE -もう一度、逢いたい-
こんな回想なんかに過去なんかに負けない。
はぁはぁと息切れが激しくて、まだ少し鼓動は落ち着かない。
「茜ちゃん。大丈夫?」
「…何も知らないくせに」
「え?」
そのまま玄関に再び向かう。
「あ!試合する場所、
小谷高校だからね!」
明音の言葉に思わず、再び足が止めた。
「2時に小谷高校だよ」
繰り返し間違わないように言う明音。
「終わってからでいいから
絶対に来て。待ってる」
明音の方に振り返ったあたしは無愛想に告げる。
「行かない」
ただ、それだけ。
「試合が終わってから、
近くの土手で練習するって」
それでも必死に訴え続ける彼女はまだま諦める様子はない。
あたしは大きな溜息を1つついた。
「お茶飲んだら帰ってよ。
鍵ここに置いとくから」
「絶対に、絶対に来てね!
土手だからね!!」
バタン彼女の諦めないって言葉を最後に家を後にした。
「絶対に来る」
明音は残りのお茶をグビッと一気に飲み干した。