AKANE -もう一度、逢いたい-
「ハハ。茜は相変わらずだな」
キラキラしたはにかみ笑顔のまま、一瞬であたしの傍まで来て優しく片手を差し出してくれた。
もちろん、思い切り払い除けて自分で立ち上がった。
そういえば、貴之に会うのはあの花火以来だ。
少し、こけた膝が痛かった。
「こういうところは全く変わってないな。相変わらず運動音痴だし」
「…うるさい」
「え?何か言った?」
「別に」
嫌だったんだ。
あたしは今までとは変わったと思っていたのに。
でも貴之は昔のあたしと変わらない部分があると言う。
その事実が嫌だった。
昔の自分は全て捨ててきたはずだから。
「今日さ、
サッカーの試合だったんだ」
「そう」
もちろん、知ってるよ。
「もちろん、勝った!」
すごく楽しそうに試合経過を話し出す貴之は昔と全く変わっていない。
憎くて仕方がないほどに。
「2-1で
ぎりぎり勝ったんだ!!」
「そう」
無邪気な笑顔もあの頃と変わらないままだ。
まっすぐなまま、何も苦労せずに生きてきたんだと思い知らされる。
まっすぐに生きれなかったのが悲しいわけじゃない。
けれど、ありのまま受け入れる貴之がムカつくというより、呆れてしまった。