AKANE -もう一度、逢いたい-
「でも今日の俺は
失敗ばかりだった」
「………」
「最低だよな。
エースって言えないよな」
少し寂しそうだった。
でもあたしは励まさない薄情なヤツ。
「今度さ、試合観に来てよ」
「行かない」
「また即答じゃん」
彼はハハハッと爽やかに笑った。
そして貴之は明るい口調で続きを話し始める。
「でも観に来てもらいたい」
笑って話す貴之はサッカーが大好きだって顔をしていた。
「茜が来てくれたらもっと
良い試合が出来ると思うから」
何も答えられなかった。
いつもの様に突き返すことは簡単だ。
だけど真っ赤な夕日のイタズラからか何も言えなかった。
「あ、ヤバイ!!茜、ごめん。全日本の方にも呼ばれてたの忘れてた」
「…そうなんだ」
どうしてか少し気持ちが落ちたような気がした。
そんなことあるはずないのに。
「またな!!
気をつけて帰れよ!」
貴之は必死に謝って、走って行ってしまった。
そう思っていると引き返してきて、「じゃあ約束な!」と言った。
もう一度、笑ったアイツの顔はキラキラとまぶしくて、どうしても憎かった。
きっと普通の人ならトキメク笑顔なのに。
「…大きなお世話よ」
ボソッと呟くあたしの言葉は聞こえないまま。
あたしは夕日が照りつける中、ゆっくりと歩みを進めていた。