AKANE -もう一度、逢いたい-
「もしかして、
良い雰囲気だった?」
後ろから声を掛け、横に寄ってきたのは蒼次だった。
「蒼次こそ、
こんなところにいていいの?」
「なんで?」
「さっき貴之が全日本の方に行かないとって言ってたから」
「俺は関係ないの。
今回は外されたから」
「そう」
「そこは『ゴメン』とか『頑張って』って言うとこじゃないの?」
少しふくれながらも、自然と隣に並んで歩を進める。
「…じゃあさ、
今度の用件は何?」
一人去ったと思ったら現われてしまった。
この面倒くさい男をさっさと片付けたかった。
「さすが、茜。
急に核心ついてくるね~」
「だってそうでしょ。この前の花火の日も、2人だけにするなんてあんたの画策じゃない」
「やっぱりバレてたか」
「バレるに決まってるでしょ」
全然悪びれる様子はなかった。
「…今度はあんたが
説得しに来たってこと?」
「ん~、半分正解だけど、
半分ハズレかな」
「だったら、帰る」
その答えに急にクスッと鼻で笑い出す。
その態度にイラッとしてしまった。
「あたし、何かした?」
「別に」
蒼次のこういうところ、あたしは大嫌いだ。
というよりも、昔はもっと泣き虫だったくせに。