AKANE -もう一度、逢いたい-
「ジュニアって環境も違うし、
周りにいる連中も強豪ばかり」
「………」
「いろんなプレッシャーで
辛いことばかりだよ、本当に」
「…そうだろうね」
選ばれるなんて確かに血に汗握るほどの努力が必要だ。
その中にいた蒼次が言うからすごいに違いない。
強豪ばかりということは、いつも周りは仲間だけど敵だということだ。
妬まれることも多いはず。
そして期待というプレッシャーもかかるばかりだろう。
あたしは、そのことをよく知っているよ…。
「それでも
貴之は変わらない」
蒼次の言葉に思わず、あたしはビクッと反応した。
一番近くにいる蒼次が言うなら、そうなのだろう。
「いつまでも変わらない
笑顔でサッカーをしてるよ」
「………」
あたしは何も答えることが出来なかった。
貴之は幼い頃のまま。
いつもと変わらないまぶしい笑顔。
そしてサッカーが楽しい、好きだという気持ちもずっと変わっていない。
「あいつは変わっていない。
お前も分かっているだろう?」
鋭い問いかけにあたしはまたビクッと反応した。
心を見透かされているようで怖いほどだった。
「そう…みたいだね」
あたしはそれ以外何も言えなかった。
これ以上、何も知られたくない。
だから気持ちを隠したかった。