AKANE -もう一度、逢いたい-
少し違うのは今までと違って目すら合わしてくれないこと。
俺には開きかけた心の扉を茜が無理やりに閉ざしているようにしか思えなかった。
「そういえば明音ちゃんは
またミスコンに出る?」
「あれって9人出るんでしょ。学年ごとに3人だけだから私には関係ないよー!」
これをぶりっ子とかじゃなくて天然で言うから怖い。
俺だけじゃないだろう。
きっと明音ちゃんは出場するだろうって突っ込んでしまったのは。
「去年が2位ってことは今年は優勝するかもだから頑張ってみたらいいじゃん」
蒼次が一生懸命に応援して、陽平も応援していると話す。
「まだそんな話、早いよ」
本当に明音ちゃんは天然だ。
本当の天然だって知らなかったら女子なら苛立つのかもしれない。
でも彼女には裏がない。
陽平が言っていた。
彼女は誰にでも優しくて、いつもまっすぐだ。
だから偏見もなく、茜にも接してくれるのだろうと思うんだ。
それが明音ちゃんが男女問わずに好かれる理由だろう。
容姿がキレイだからじゃない。
人間として、キレイなのだろう。
「…あたし教室戻る」
茜は突然それだけ言って帰って行く。
「貴之くん、あたし絶対に
執事カフェに行くから!」
「ありがとう。
……明音ちゃん」
「明音ちゃん、
俺に逢いに来てくれよな」
「陽平くんも、ありがとうね!」
明音は愛想を振りまいて、追いかけて行った。
いつまでも貴之たちに可愛く手を振りながら。