AKANE -もう一度、逢いたい-
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この数分間の会話が後にトラブルを生んでいくことになる。
5人の会話に聞き耳を立てていた周囲の女子たちはある女にイライラしていた。
そして確信したこともあった。
『貴之くんと河崎さんは
絶対に付き合わない』
『恋愛関係なんて
絶対に有り得ない!』
『貴之くんが優しいから
関わってくれているだけだ』
『だって河崎さんは、誰一人として本当の友達いないもの』
河﨑さんが昔からの幼なじみでも、ライバルになるなんて絶対に有り得ない。
万が一にでもライバルだとしても勝てる自信がある。
あんなにもブサイクで、性格も曲がっている奴なら勝てるに違いないと。
だから周囲の女子たちの嫉妬心はもう1人の女に注がれていた。
容姿も性格もよくて、誰にでも好かれる女。
『明音』ならば貴之くんを狙っていてもおかしくないはずだ。
「あたしさ、前から思ってたけど、あの明音って子マジでウザイ」
「それ、分かる!」
「あぁ。あの河崎さんと仲良くしてるのは貴之くんに近づくためって噂の?」
「そう。それ!」
「あれって、噂じゃなくて本当なんでしょ?」
「マジで!?」
「そうじゃなかったら、あんな暗くて地味な女と関わらないでしょ」
「それはそうかも…」
「賢いよね。それで貴之くんたちに近づくんだもん」
「マジで鬱陶しいわ…」
そんな暗い感情が生み出されていることに誰1人気付かない。
いや、1人だけ気付いていたのかもしれなかった。