AKANE -もう一度、逢いたい-
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そのまま俺らはいつも通りに部室へと向かった。
そして着替えを始める。
汗がベトベトして気持ち悪い。
それから数分後にマネージャーが大きなダンボールをいくつも運んできた。
そこに入っていたのはプレゼントやラブレター、差し入れだった。
でも、こんなのいつもと変わらない。
俺のところのサッカー部は強くて有名で、過去にもたくさんの日本代表が誕生していた。
同時によくモテる。
でも俺がここでサッカーを続けているのは理由があった。
たった1人の女の子と交わした大切な約束。
きっと逢えると信じて。
周囲では先輩や同学が歓喜をあげていた。
たくさんの女の子からそんなに甘いものばかり貰って何が嬉しいんだろう。
さっぱり分からない。
「貴之、
お前も相変わらず多いな」
「………」
「なんだよ。
嬉しくないのか」
「…嬉しいけど。
俺はもらえない」
「またか?」
そう、俺はいつももらわない。
特に気持ちがこもっている物は。
「いらないなら
もらってもいい?」
陽平が嬉しそうに顔を出してくる。
「…全然いいよ」
冷たくそれだけを言うと荷物を持って部室から出て行った。