AKANE -もう一度、逢いたい-
俺はそこに立っていた女たちをにらんだ。
そして茜をお姫様抱っこして歩き出す。
すると茜と話していた女の子が俺に話しかけてきた。
「あの、その、
中野 貴之くんだよね?」
「…そうだけど」
俺はすぐにでも茜を保健室に連れて行きたかった。
「メールアドレス
教えて欲しいんだけど…」
さっきまで茜とぶつかっていた女は平気な顔をしていた。
こんな状況で言う言葉とは思えなかった。
「こんな状況でそんなこと
よく言えるよな…」
「だって…!!」
「何があったか知らないけど
いい加減にしなよ」
少しキレていた俺は、今までとは違う俺が出てしまっていた。
「あっそ。中野くんも
その女が大事ってわけだ」
「あぁ、大事だよ」
この言葉に嘘はない。
すると、彼女たちは開き直って言うのだった。
「どうして、この女が
モテるのか分かんない!」
中心的な子はそれだけ言って悔しそうに帰って行く。
「茜、ごめんね…」
後ろにいた1人の女の子は茜の耳元でささやいていた。
「詩織、行くよ!」
「あ、うん」
詩織と呼ばれた彼女は申し訳なさそうに謝っていた。
そして3人組はすぐに帰っていった。