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「お嬢様・・・お母様が・・・」
「知らない。適当に言っといて・・・」
「しかし・・・」
「あーもう!!わかった・・・行くって伝えて」
使用人・磯山は、そそくさとあたしの部屋から出た。
はぁ・・・
最近、ため息しかついてない気がする。
毎日毎日ピアノの練習。
小学生から中学2年の前半までは楽しかった。
前半"までは"。
今なんて、ただやらされているだけ。
好きでしてるんじゃない。
じゃあ何でしているのか。
そんなの簡単。
お母様が、有名ピアニストだから。
幼い頃から培ってきたピアノの技術を、あたしに押しつける。
押しつけて、将来的にはあたしをピアニストにさせる。
あたしは、その事について何も口出しできない。
言ってみたら、奴隷と同じ。
主人に何も言えず、主人に与えられる事をただ行うだけの、奴隷。