across
パンパンっ
お母様が打つ、ストップを意味する手拍子で我に返った。
お母様のほうを向く。
「あなた、今違う事を考えていたでしょ?」
あ・・・
しまった。
何も考えないようにしていたのに。
「すみません・・・」
一礼して言った。
「ったく・・・この私が教えているというのに。音楽以外の事は考えなくていいの。わかる?」
「はい・・・」
「じゃあ続きを。1、2・・・」
音楽以外の事は考えなくていい・・・
無理でしょ、どう考えたって。
音楽なんて・・・
「違う違う!!もう一回、1、2・・・」
ポロン・・・
「だから違うって何度言ったらわかるの!?私の言うとおりに動かしなさい!!」
その瞬間、あたしの何かが崩れ始めた。