ワンだふる·ワールド11~ワンコの読書~《TABOO》
ハチの感想への返事に
「貴方からの感想を読むうちに、優しそうな人柄に興味を持ちました。
よかったら、今度会いませんか?」
と書いて反応を探る作戦を決行。
ハチの言動を観察してみると、浮わついている様に見えなくもない。
――やっぱり…
と訝る私の目の前で、何も知らないハチが携帯をいじり出した。
OKときたら、浮気確定。
犯行現場にて即、逮捕だ。
ハチが打ち終わるのを待って、感想欄を開くと、
『お気持ち、ありがとうございます!
ですが、僕には大好きな恋人がいるのでお会いすることはできません。』
とキッパリと断りのコメント。
――ハチ!…ありがとう…
キッチンで炊事に勤しむハチの背中に、涙が滲む。
が、ハチの愛情に浸るのも束の間。
感想欄にスピッツやラブから続々と新しいコメントが届く。
『僕は貴方が好きです。』
『僕は誘ってもらえないの?』
彼らの熱烈なラブコールが、私の創作意欲を過剰に刺激した。
――ごめん、ハチ
――今度、官能小説の取材に行ってくるね
EMD