ワンだふる·ワールド12~ワンコの誓い~《TABOO》
お色直しを終え、会場へと戻る途中で仕事帰りの神父とすれ違った。
長髪をなびかせた蒼い瞳の彼は、気品溢れる長身のアイリッシュ セッター。
出逢う場所さえ違えば、必ずや私の犬史に残るであろう名犬だ。
その彼がすれ違い様に、私のドレスの裾を踏んで破いてしまった。
「ドウモ スミマセーン」
と慌てて謝るセッター。
が、ドレスはもはや修復不可能。
付き添い人も会場関係者を探して行ってしまった。
すると突然、セッターが横の備品室へと私の腕を引く。
部屋に入るなり、物欲しそうに見つめるセッター。
「アナタノ ウツクシサ ハ ツミデース」
と神父が新婦の唇を塞ぐ。
何度も重ねられる彼の熱いタブーは、封印した犬トモ達への炎を再燃させた。
――ごめん、ハチ
――神様自ら教えてくれたよ
――ワンだふる·ワールドは永遠に続けていいんだって!
END