◇桜ものがたり◇
こうして、桜河家では、光祐さまが大学を卒業して、
会社の役員研修を無事に終了した光祐さま二十三歳、
祐里二十一歳の桜の盛りに
盛大な結婚式・結婚披露宴が三日三晩続いて催された。
お屋敷の樹齢三百年を超える桜の樹が、
光祐さまと祐里の結婚を祝して、
百年に一度咲くという紅白の見事な花を開花させた。
その桜の樹の下の花婿・花嫁の絵にも描けない美しさは、
春風に乗り、都にまで伝わっていった。
光祐さまは、祐里を愛しみ力強く守っていた。
祐里は、光祐さまに寄り添って、
桜の樹をお守りの如く毎日欠かさず、大切にして過ごした。
旦那さまと奥さまは、仲睦まじい光祐さまと祐里の姿を
目を細めて見守っていた。