◇桜ものがたり◇
夏の強い陽射しの中では、
光祐さまの力強い愛に抱かれて安心していた姫。
二人の側に居ることが喜びでもあり、哀しみでもあった。
秋桜の花咲く川原では、
まるで、天女が羽衣を纏うように佇んでいた美しき姫。
茜色に染まる美しい横顔を見つめて、
思わず愛してしまいそうになる気持ちを懸命に押さえた。
桜葉が紅葉する季節、
姫から贈られる桜の紅い落ち葉の栞は、木箱の中に大切に保存した。
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