◇桜ものがたり◇
「柾彦さん、祐里さんがよろしくお願いしますとのことでした。
祐雫ちゃん、どうぞ、たくさん召し上がれ」
結子は、早く祐雫のように可愛い孫が欲しいものだと感じる。
「いただきます」
祐雫は、桜河のお屋敷の料理は、和食が多いので、
結子の作る洋食が大好きだった。
「優祐くんは、家に戻ったの」
「はい。午後から、剣術のお稽古でございます。
優祐は、母上ご自慢のよい子でございますもの」
祐雫は、優祐の従順さを揶揄する。
「まぁ、祐雫ちゃんがお姉さまのようですわね」
結子が声高に笑う。
「おじいさまが、優祐を兄とお決めになられたので、
祐雫は妹でございますが、双子なので、
祐雫が姉でもよろしゅうございましたのに」
祐雫は、口を尖らせる。
「雫姫は、ご機嫌斜めだね。何かあったの」
柾彦は、食事を終えて、祐雫を居間の長椅子に座らせた。