◇桜ものがたり◇

 光祐が部屋に戻ると、

 祐里は、浴衣に着替えて、神妙な顔つきで座っていた。


「光祐さま、いろいろとご心配をおかけして申し訳ございません」

 祐里は、正座をして、光祐に頭を下げる。


「祐里のお爺さまは、ぼくにとっても、

 お爺さまなのだから、恐縮することはない。

 祐里、お爺さまの体調が戻られたら、

 神の森まで送って差し上げなさい。

 夏休みに入るから優祐を連れて行くといい。

 恐れなくとも、大丈夫だよ」

 光祐は、震える祐里の手を取る。


「光祐さま、

 祐里は、光祐さまのお側を離れとうはございません」

 祐里は、光祐の胸へ顔を埋める。

 光祐は、優しく祐里を抱きしめる。

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