◇桜ものがたり◇
「はい、光祐さま」
祐里は、不安で押し潰されそうになりながらも光祐に頷き返す。
「祐里、今までにもいろいろなことがあったけれど、
ぼくは、祐里をしっかりと守ってきただろう。
今回も何が起ころうと、必ず祐里を守るからね。
ぼくは、祐里を信じているから、祐里もぼくを信じておくれ」
光祐は、祐里が発つまでの毎夜、恐れる祐里を抱いて眠った。
祐里は、陽光に輝く満開の桜に包まれているような気分になり、
光祐に抱かれて、安堵して眠りに就いた。