◇桜ものがたり◇
朝食を終えてから、八千代は、祐里に白い狩衣を纏わせて、
祐里と優祐を神の森に案内した。
八千代が一歩を踏み出すだけで、神の森は、大きく開けていく。
◇◇◇八千代、祐里は、素晴らしい後継者だ◇◇◇
神の森は、森全体を震わせて喜びを表現した。
「お褒めに預かり光栄でございます」
八千代は、満足して、神の森に大きく頷き返す。
祐里の周りには、野鳥が飛翔して美しい声で囀った。
風が涼やかに渡り、緑の香気を運んでくる。
神の森は、息吹を取り戻しつつあった。
「祐里、神の森がそなたを歓迎しているぞ。そなたは、神の御子じゃ」
八千代は、上機嫌で、何度も祐里に頷いた。
祐里は、八千代の満悦ふりに、口を挟めず、ただただ微笑んでいた。
八千代は、神の森で出会う榊原の血筋を引く森の長(おさ)たちへ
祐里と優祐を紹介して回った。
森の長(おさ)たちは、すんなりと祐里と優祐を歓迎し受け入れていた。