◇桜ものがたり◇

 人々を癒していた不思議な力……

 祐里は、この力のために、

 いつの日か光祐と離れる日が来るような気がしてならなかった。


 その反面、本来の力を自由自在に発揮できる神の森に

 居心地のよさを感じてもいた。


 優祐は深緑の森に祐里が溶けて、同化していくようで心配になる。

 祐里の白い肌が透明になり、森の緑に透けて行くように感じられ、

 慌てて祐里の腕を掴んでいた。


 優祐の中では、桜河家の血筋と榊原家の血筋が鬩ぎ合っていた。

< 215 / 284 >

この作品をシェア

pagetop