◇桜ものがたり◇
人々を癒していた不思議な力……
祐里は、この力のために、
いつの日か光祐と離れる日が来るような気がしてならなかった。
その反面、本来の力を自由自在に発揮できる神の森に
居心地のよさを感じてもいた。
優祐は深緑の森に祐里が溶けて、同化していくようで心配になる。
祐里の白い肌が透明になり、森の緑に透けて行くように感じられ、
慌てて祐里の腕を掴んでいた。
優祐の中では、桜河家の血筋と榊原家の血筋が鬩ぎ合っていた。