◇桜ものがたり◇
光祐と家族は、一晩中列車に揺られて、桜河のお屋敷へ帰り着く。
「おばあさま、婆や、ただいま帰りました」
優祐と祐雫は、無事に帰って来られた喜びに満ち溢れて、
疲れも忘れて、お屋敷の玄関に走り込んだ。
「桜、いつもありがとう。約束通り、祐里を連れて戻ったよ」
光祐は、優祐と祐雫の後姿を微笑ましく見送りながら、
お屋敷と桜の樹をしみじみと見つめた。
そして、明日一番に家族揃って、
先祖代々の墓参りへ行こうと考えていた。