世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
怠い挨拶が終わり、今は各国の偉い人に囲まれ、息つく暇もないくらい、話を合わせ、愛想笑いを浮かべていた。
成人の儀は、成人になったものが神に祈り、参列者へ挨拶すればだいたい終わるのだ。
それが終わったら、後はパーティーのようなものだ。
《……疲れた、》
数時間という間、重いドレスを着て、各国の王家の人たちといたせいで、疲労感が半端なかった。
「少し、失礼いたしますわ。」
これで最後というくらい、完璧な愛想笑いをして、人々の輪を潜り抜けた。