世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
「君がここの部屋に入ったのが見えたから、」
そう言った彼は、私と同い年か、それより少し若いくらいの、整った顔立ちの美少年だった。
ふわふわしたキャラメル色の髪をしていて、目は夜空のように深い、きれいな青色だった。
「…えっと、支えてくれてありがとう。」
「いいや、怪我しなくてよかったよ」
鈴の音みたいな、笑い声をあげる彼に見とれていたら、はっと、ペルト国王への挨拶がまだだったことを思い出し、彼の前でドレスを少し上げ、一礼した。
「すみません、挨拶がまだすべて終わっていなかったので、失礼します。」
「また会うときに、今日のお礼をいたしますわ」
「…それじゃあ、また会えるのを楽しみにしておくよ。」
その少年は終始笑顔を絶やさず、見送ってくれた。