世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
「姫様には一国の次期王妃とし ての自覚が足りません。」
「……それまでにまだ世界が生きていたらね」
「……姫様、」
悲しそうな顔をして彼は私から空に視線を移した。
…そう、月と太陽が動くことなくある空に。
約1年前、世界に大きな穴があいた。
異空間とをつなぐ扉。
何の前触れもなく、突如姿を現しだそれ"に、私たちはなす術もなく、異界からの侵入を許してしまった。
異形な姿をしたものたちは、欲望のままに人々を襲った。
太陽も月も沈まず、大地の半分が枯れ、闇が濃くなった。
人々は悪魔と呼び、恐れた。