世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
「存じ上げております。両国のますますの発展のためにと、聞かされております。」
ミラは遠回しに、゙この結婚に自分の気持ちはない"と、言う意味をこめて言った。
彼は少し口角をあげ、感情の読み取れない表情で、ミラへまた一歩近づいた。
「どうやら、お前の父親は俺にどうしても、渡したくないらしい。」
彼の目が、少し赤くなったような気がした。
面白いものでも見つけたという風な、それでいて、とても落ち着いた声だった。
私は少し身の危険を感じ、早々に立ち去ろうと後ろを向こうと思った瞬間、彼に手首をつかまれ、会場へと連れていかれた。
「なっ、なに!? ちょっ、離して!」
何度もドレスを踏んで、転びそうになったが、なんとか耐えた。