世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
足元を気にしているうちに、彼の手がバルコニーの扉に触れるか触れないかのところで、勢いよく音を立て、扉が開いた。
会場内の視線が一斉にミラとその少年に向けられた。
そこへ、父のライク国王が顔色を変えて、近づいてきた。
「娘をはなせ…!」
切羽つまった声だった。彼は意地悪そうな笑みを浮かべ、父に一歩近づいた。
「お前だけに解るように、送ったつもりだったんだけどな」
「何だと…?」
「解らないとは、言わせない。我が城へ来たやつに刻みこんだからな…。見ただろう」
「ッ! 私の娘は関係ないはずだ!!」