世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。
「全然、なんともないわ」
私は笑って、少し強がった。
本当は、さっきから首筋が少し痛むのけど、お父様に心配かけないように、内緒だ。
「…そうか、」
お父様は私の頭を撫でていた手を下ろし、悲しそうに言った。
私は気付かないふりをして、笑った。
そして、少しの沈黙の後、お父様が口を開いた。
「……ミラ、私にはお前の呪いをとくことも、あの魔王を倒すこともできない」
私は、震えているお父様の手をにぎった。
とても、冷たかった。
「私は、お前を失いたくはない…! だが、お前の父親である前に、一国の王でもある。民の命を…、世界中のものたちの命を見捨てることは、できない―。 わかってくれ」