ファニープリンス
「来てくれたんだ…」
「当たり前だろ。仮にも幼馴染だからな。頼まれたらなんでもやってやるよ」
そうちゃんはにぃっと口角を上げて笑うと、セットしたばかりの私の髪をくしゃりと撫でた。
嫌がる私を見てまたケラケラと笑う。
「でも、本当に来てくれるって思わなかった」
いつも意地悪だもん、そうちゃん。
まだ私の肩を引き寄せてるそうちゃんをチラリ、と横目で見れば。
ブラウンの髪を無造作に流して、薄い唇を楽しそうに上げて言った。
「知らない人ばかりだと怖いから来て、とか。珍しく可愛らしい楓も見れたしな」
珍しく、はいらなかったんじゃない?と睨んでもまったく効果なし。
「ほら、行くぞ。皆待ってる」
「う、うん。ありがとう」
店に入る、と思った瞬間に強張った私をそうちゃんが慣れた様にリードして、皆のもとへ向かう。