ファニープリンス



***



「ありえない…」



店を出て、ひとまず公園に退散した私は、ベンチにぐったりと座っていた。



「なにが?」


疲労の原因である当の本人はケロリとして、まるで僕は関係ありません顔。



「そうちゃんだよ!!なんであんな誤解されるようなことし!!」


すると、言葉の続きを遮るように、そうちゃんは私の口に缶ジュースを押し当ててきた。



ココアの温かさが唇から全身に伝わって、力が思わず抜ける。


「別にいいだろーが。誤解されても」


「、」


どかっと私の隣に座ったそうちゃんは、目を瞬きさせる私を見ておかしそうに笑う。



「なに?それとも誤解されたくない理由があるとか?」


「…ないよ。それは、ない」


一瞬脳裏に彼が浮かんだけれど、すぐに消した。


馬鹿。もう、忘れるって決めたじゃないか。



「…お前って、本当ムカつく」


「え?!」


ムカつくって何よ!!
それを言うなら私のセリフだ!!



ギロリとそうちゃんを見るけれど、私は何を言えなかった。




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