ファニープリンス
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「ありえない…」
店を出て、ひとまず公園に退散した私は、ベンチにぐったりと座っていた。
「なにが?」
疲労の原因である当の本人はケロリとして、まるで僕は関係ありません顔。
「そうちゃんだよ!!なんであんな誤解されるようなことし!!」
すると、言葉の続きを遮るように、そうちゃんは私の口に缶ジュースを押し当ててきた。
ココアの温かさが唇から全身に伝わって、力が思わず抜ける。
「別にいいだろーが。誤解されても」
「、」
どかっと私の隣に座ったそうちゃんは、目を瞬きさせる私を見ておかしそうに笑う。
「なに?それとも誤解されたくない理由があるとか?」
「…ないよ。それは、ない」
一瞬脳裏に彼が浮かんだけれど、すぐに消した。
馬鹿。もう、忘れるって決めたじゃないか。
「…お前って、本当ムカつく」
「え?!」
ムカつくって何よ!!
それを言うなら私のセリフだ!!
ギロリとそうちゃんを見るけれど、私は何を言えなかった。