ファニープリンス
色んなモヤモヤを抱えて仕事をしても、全然集中できない。
「…はあ…、」
資料を抱えて絨毯を一面に敷かれた廊下を歩く。
出るのはため息ばかりで、幸せばかりがため息と一緒に逃げているようだった。
「はあ……っ?!」
そして、もう一度ため息を吐いた瞬間。
ぐいっ!!と物凄い力で腕を引っ張られ、開かずの扉といわれていた部屋に引きずり込まれた。
嘘!!
何!?人攫い?!誘拐?!拉致?!
「ふはっ拉致かな?」
「…え?」
この、声…。
窓も閉め切られて電気すらついていないけれど、姿が見えなくてもわかる。