ファニープリンス
いつもの如く、意外と鈍感な楓夏にあっさり打ちのめされた立花は、
もう慣れたのかそのままニコニコと会話を続けている。
好きです楓夏さん。この言葉を何度聞いたかわからない。
「あ、そうだ藤林さん」
と、さも私の存在を今思い出したかのように、
立花が私に顔を向けた。
「何よ」
楓夏の前じゃなかったら、いつもは楓とか生意気に呼ぶくせに。
と心の中で悪態を吐いてしまう。
「君も何か買って来たらいいよ。ケーキとか、ね」
「……」
空気読めよ、っていう顔が完璧でてますけど。
楓夏に見えてないからって、完璧裏の笑みがでてますけど。