密の味~彼の本性~
『俺、和太鼓やってまして。今度、舞台やるから見に来て下さいよ』
誘われた時はあまりの似合わなさに、笑いそうになったけど。
いざ彼の演奏を見て、私は不覚にも見惚れ、ときめいてしまった。
勿論、和太鼓の演奏に感動もしたけど。
それ以上に私は二宮に――。
「おい、あれって……」
反芻していた私の背後を示す彼氏。
人の気配を感じて振り返ろうとしたら。
「すみません。この人、お借りします」
言い置いて、強引に私の手を引っ張る。
「ちょ、どこ行くのよ! 二宮!!」
答える事無く歩き続け、ホールに入る。
舞台に上がり、バック幕の裏に連れ込まれた。