better love.


遠くなっていく男子生徒の足音、


「穂乃香っ!」
と叫ぶ男子生徒の声、


「王子だぁ~」
と騒ぐ女子生徒の声が
さっきまで俺が居た教室から聞こえた。



あー、なるほど。

あれが王子か。



王子の登場に軽く動揺しつつ
それを隠したまま俺は歩いた。



「澤村くん、」


真っ直ぐ前を見ていた田嶋先生が
呟くように名前を呼んだ。


「…はい?」


「切ないわね~」



その言葉に1番動揺しつつ、
その意味深な発言にどう返していいのか
俺は悩んでしまった。


< 29 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop