better love.
遠くなっていく男子生徒の足音、
「穂乃香っ!」
と叫ぶ男子生徒の声、
「王子だぁ~」
と騒ぐ女子生徒の声が
さっきまで俺が居た教室から聞こえた。
あー、なるほど。
あれが王子か。
王子の登場に軽く動揺しつつ
それを隠したまま俺は歩いた。
「澤村くん、」
真っ直ぐ前を見ていた田嶋先生が
呟くように名前を呼んだ。
「…はい?」
「切ないわね~」
その言葉に1番動揺しつつ、
その意味深な発言にどう返していいのか
俺は悩んでしまった。