《続》俺様ホストに愛されて
「どっか行くの?」
“デート?”とは聞かなかった。
「いや、今大学からの帰り。妃芽は?」
太一も“デート?”とは聞いて来なかった。
「知り合いの家でご飯食べるんだけど……時間持て余してるから今はブラブラしてる」
これじゃ、暇だと言っているのと同じだ。
どうしてこんな言い方をしたのか、自分でも不思議。
「つまり暇ってわけか」
そうクスッと笑って、あたしの遠回しな言葉を解釈する太一。
「まぁね」
そう言ってあたしもニコッと笑った。
まさか、太一と笑い合える日が来るなんて。
あれだけ傷付けられたはずなのに、今はもう本当になんとも思わない。
付き合っていた日々が遠い昔のことのように思えて、懐かしさすら感じさせた。