《続》俺様ホストに愛されて
「あ、じゃあね」
社交辞令的な挨拶を交わした後、特に話題も浮かばなかったのでそう言って立ち去ろうとした。
「おう、じゃあな」
そう言ってお互い歩き出す。
すれ違う瞬間、気のせいかもしれないけど太一の顔が少し曇ったように見えた。
「妃芽……」
さっきとは違うどこか切迫したような声に、思わず足を止めて振り返る。
その時、あたし達の間を風が通り抜けた。
「今、幸せか?」
風に乗って聞こえて来た声。
切なげな表情を浮かべる太一は、あたしを真っ直ぐに見据えていた。