《続》俺様ホストに愛されて
洋楽が流れる車内に会話はない。
アップテンポでハスキーな声だけが、そこに響いていた。
どこに向かってるんだろう。
せっかく一緒にいるのに、心は遠いところにいるみたい。
助手席側の窓から外に目をやる。
景色が次々と移り変わり、ぼんやりそれを眺めていた。
リュウの顔を見ていると泣いてしまいそうだったから。
「腹減った?」
「大丈夫だよ」
「トイレは?」
「平気」
高速に乗ってから、こんな会話ばっかり。
静か過ぎるエンジン音が、この場の空気をやけに重たくさせる。
車に揺られて2時間近くが経ったけど、一向に目的地へ着く気配が見えない。
さっきからリュウも真剣な面持ちを崩さないし。