《続》俺様ホストに愛されて


洋楽が流れる車内に会話はない。



アップテンポでハスキーな声だけが、そこに響いていた。



どこに向かってるんだろう。



せっかく一緒にいるのに、心は遠いところにいるみたい。



助手席側の窓から外に目をやる。



景色が次々と移り変わり、ぼんやりそれを眺めていた。



リュウの顔を見ていると泣いてしまいそうだったから。



「腹減った?」



「大丈夫だよ」



「トイレは?」



「平気」



高速に乗ってから、こんな会話ばっかり。



静か過ぎるエンジン音が、この場の空気をやけに重たくさせる。



車に揺られて2時間近くが経ったけど、一向に目的地へ着く気配が見えない。



さっきからリュウも真剣な面持ちを崩さないし。


< 83 / 210 >

この作品をシェア

pagetop