《続》俺様ホストに愛されて
着いた頃には辺りは夕焼け空に変わっていた。
まだまだ暑いはずなのに、暑さなんて全く感じない。
お父さん、お願いだから無事でいて。
「妃芽、立てるか?」
駐車場に入って車を停めた後、あたしの手を握り返したリュウが心配そうに顔を覗き込んだ。
「う、ん。大丈夫」
リュウが手を握っててくれたおかげで、大分落ち着くことが出来た。
「行くぞ」
助手席側のドアを開けて、リュウがあたしを車から下ろしてくれた。
市内で唯一の総合病院。
その自動ドアをリュウに手を引かれながら進む。
受付近くで、大樹が待っていてくれた。
「大樹、お父さんは⁉」
作業着姿のままの大樹に駆け寄る。
「大丈夫だ」
大樹はあたしに向かってそう言った後、視線をスーッと流して後ろを見た。
「妃芽が迷惑を掛けたみたいで……けど助かりました、どうも」
そう言った後、大樹はリュウに向かって頭を下げた。